東日本大震災から丸10年をむかえるにあたってメッセージ
2021年3月11日で東日本大震災から丸10年となります。
この災害によって被害にあわれた2万人以上の人々を悼み、改めて深い哀悼の意を表します。
私たちは当初「復興支援美容室」と呼ばれていましたが、2013年ころから自らのことを復興支援美容室と呼んだことはありません。スタッフから、「もう復興と言われたくない」と言われるようになったことが大きな理由です。私自身も、創業の地は石巻でしたが、もともと描いていたのは美容室業界における課題であり、日本における女性の雇用に関わる課題でしたので、今からこそ全国に株式会社ラポールヘア・グループを展開していくタイミングだと思いました。
現在、フランチャイズも含めると北は青森県から南は福岡県まで弊社の事業は拡がっています。私たちの事業が拡がっている背景には、女性の雇用に関わる構造的で根深い課題が日本全国に存在していることに加えて、幅広い年齢層の方が気軽に足を運んでもらえる地域密着な美容室がなかったということがあります。美容室ラポールヘアは、結婚・出産・育児・介護など多くの女性が直面する人生の転換期にも、仕事を辞めずに働き続けてもらえる環境を作り続けています。これは、東日本大震災の被災地域だけの課題ではなく、日本が長年抱えてきた大きな課題であり、美容業界においても長年顕在化してこなかった働く人達の課題でした。私たちは、この課題に取り組んでいるからこそ、全国に同志や仲間が増えていると確信しています。
「ラポール」とは、もともと臨床心理学の言葉で「セラピストとクライアントの間に、相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり感情の交流を行える関係が成立している状態を表す語」です。私がこの言葉を社名につけたのは、「お客様だけでなく、共に働く仲間や取引先、株主や地域社会が、信頼関係を築き、これらステイクホルダーとの共生が、幸せにつながる」という想いからです。江戸時代の髪結いから始まる美容室という商いは、世の中必ず古く懐かしいものが復活してくるという螺旋的発展からしても、原点はそのまま思想として残しながら、少しずつあり方は変化させながら地域の中で必要とされています。今回の新型コロナウィルス拡大は、美容業室界にとっても苦しい時期ではありますが、ステイクホルダーとの間に「ラポール」があるからこその強さを実感しています。
東日本大震災から10年。
3年で8割以上が離職すると言われる美容室業界ですが、私たちの美容室では創業時から働き続けてくれているスタッフが多くいます。この10年の中で、結婚や出産をしたスタッフも沢山おり、美容室に併設するキッズルームをスタッフの子どもを始め、多くの子どもたちが利用をしてくれました。女性が働きやすく、働き続けられる環境をつくりだし、より多くの美容師が幸せに働いてくれること、100年先の子どもたちに明るい未来をつくっていくことが、私たちの使命だと思っています。
東日本大震災の被災地で創業した株式会社ラポールヘア・グループは、11年目から先につながる未来に向けて、持続的な事業価値を創造し続け、美容室業界の課題に取り組むと共に、日本国内の地域課題に取り組むことに力を尽くし、私たちの使命の果たしていこうと考えています。